歌代徹(AJ千葉・専務理事/読売自動車大学校非常勤講師)
私が非常勤講師を務めている自動車整備専門学校の現場では、海外からの留学生の割合が増えています。今から13~14年前は、留学生の割合は10%程度だったと思います。出身国も中国からの留学生が圧倒的に多く、他の地域からの留学生はかなり少数でした。数年前から徐々に留学生比率が多くなり、ベトナムからの留学生の数が今では最も多くなってきています。
現在では、70~80%程度が海外からの留学生になってきており、日本人の比率は非常に低い状態です。留学生は、通常2年程度日本で日本語学校に通学し、日本語検定2級程度の日本語能力を持って、専門学校に入学するケースがほとんどです。専門学校でも、日本語の授業、日本語でのレポート提出や試験、日本で就職する場合は、日本語検定1級レベルを求められ、履歴書や面接等も全て日本語で行われるため、日本語能力は必須条件になっています。
海外で、他言語での授業はかなりハードルが高いのですが、留学生は現地の大学など卒業してから来日する方々も多く、優秀なので、言語対応もそれなりに克服して、日本で活躍する整備士も多くなってきています。
しかし、コロナ禍おいては入出国の制限等もあり、海外からの留学生が日本に入国できなくなり、今年から学生の数は約半減してしまいました。この約2年間のコロナの制限で、まず日本語学校に通う学生が少なくなり、当然全体の数が少なくなっています。留学生の減少、イコール整備士数の減少となり、オートバイ業界でも人材の奪い合いになることが予想されます。
今までは、整備士の待遇(給与や勤務時間、年間休日等)の多くは、あまり考慮されてきませんでしたが、今後はある程度見直していかないと、待遇面で他の業種と比較されて、人材の枯渇を招く可能性も否定できないと思います。
整備士、イコール国家資格者と言え、実務面では卒業し資格取得しただけでは、まだまだ1年生状態です。会社で使える人材になるまでには時間が掛かりますが、そうした時間をかけて仕事ができるようになった人材に、適正な待遇をお願いしたいと思います。
特に、オートバイショップのサービス担当者は、例え1メーカーの取扱であっても、いろいろな年代の膨大な車種の面倒を見なくてはいけないことや、お客様に対しても適切な対応(接客)ができるスーパーマンであると、私は思っています。