
ヤマハ発動機販売は10月30日、スーパースポーツモデル「YZF-R9 ABS」を発売する。国内での年間販売台数は300台を見込む。
同機種は、“クロスプレーン・コンセプト”とする水冷・4ストローク・DOHC・直列3気筒・888ccエンジンを軽量アルミフレームに搭載したモデルで、同社の歴代のスーパースポーツを振り返る「Re-DNAed Supersport」をコンセプトに開発したとする。「MT-09」のパワーユニットを基に、ミドルクラスで最強のトラックパフォーマンスを実現し、ライダーのスキルやステージを問わない親しみやすさと、最高のエキサイトメントをあわせ持つ懐の広いモデルに仕上げたという。
主な特徴として、トルクフルで余力のあるパワーを発揮するクロスプレーン・コンセプトという、慣性トルクが少なく燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想を基にした3気筒エンジンを搭載させた。フレームには、同社の歴代スーパースポーツモデルの中で最軽量となる新型重力鋳造アルミフレームを採用。スポーティなライディングポジションは、足つき性や快適性も考慮し、前後KYB製の新型サスペンションを搭載することで緻密な減衰調整を可能としている。
さらに、ウイングレットの採用など空力性能を高めた外装や、“YZF-R”シリーズの特徴を受け継ぎ進化させたデザインを盛り込んだという。走行支援機能として、「YRC(Yamaha Ride Control)」やクルーズコントロールシステム、「YVSL(Yamaha variable speed limiter)」を備えるほか、ラップタイム計測や走行データの可視化が可能な専用アプリ「Y-TRAC Rev」といった“つながる”機能も搭載する。
同機種は900ccのミドルクラスモデルとして、スーパースポーツの理想を追求した機種となる。多彩な新技術を搭載し、600cc直列4気筒スーパースポーツYZF-R6に匹敵する性能を持ちながら、幅広いスキルやステージに対応する扱いやすさを兼ね備えた。
エンジンは、888ccの水冷4ストロークDOHC3気筒CP3エンジンでは「YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)」を採用し、吸入空気量の制御を精密に行うことで、高いトルク感と余裕のある加速性能を実現したという。また、吸排気音にもこだわり、低速では心地よい排気音、高速では吸気音が強調されるよう設計した。車体には、ヤマハ歴代のスーパースポーツモデルで最軽量となる重力鋳造アルミフレームとし、剛性を高めながらも軽量化を実現。メインフレームの重量はわずか9.7kgとして、より軽快な走行が可能となるようにした。
ライディングポジションも改良し、前傾姿勢を適度に調整しつつ、足つき性や快適性が向上させた。ハンドル位置やフートポジションを工夫し、スポーツ走行から日常使用まで幅広く対応できる設計としている。前後のサスペンションにはKYB製の新構造を採用し、緻密な減衰調整が可能。フロントには倒立式サスペンションを、リアにはリンク式モノクロスサスペンションを搭載し、走行時の応答性や接地感が向上。耐摩耗性の高いカシマコートを施すことで、外観品質も向上したとしている。
空力性能にも注力し、新型外装にはウイングレットを採用した。ヤマハスーパースポーツモデルのなかで、最も空気抵抗が少ない機種となる。さらに横風の影響を抑えつつ、旋回時の前輪の接地感が向上させた。さらにエンジンからの放熱を効率的に処理し、ライダーへの熱の伝達を抑制する構造とした。
走行への支援では、各種電子デバイスの介入度を選択できる機能「YRC(Yamaha Ride Control)」を搭載。あらかじめプリセットされた3種のSPORT、STREET、RAINのパターンのほか、2 種のカスタマイズ枠(CUSTOM1~2)、また TRACKモードでは 4 種の枠(TRACK1~4)から、シーンに応じてモード選択が可能。
走行をサポートする制御設定可能な項目は、クルーズコントロールシステムや設定した速度に最高速度を制限できる「YVSL(ヤマハバリアブルスピードリミッター)」やトラクションコントロールシステムのほか、PWR(パワーデリバリーモード)、SCS(スライドコントロールシステム)、LIF(リフトコントロールシス
テム)、QS(クイックシフター:加減速時のアップ/ダウン共に可能)、LC(ローンチコントロール)、EBM
3(エンジンブレーキマネージメント)、BC(ブレーキコントロール)、BSR(バックスリップレギュレータ)、
ABSリアOFFも設定可能。
さらにラップタイム計測や走行データの表示が可能な「Y-TRAC Rev」アプリなど、スマートフォンとの連携機能も充実している。
デザイン面ではYZF-RシリーズのアイコンであるM字ダクトや二眼ポジションランプを継承しつつ、新時代の進化を感じさせるスタイリングとした。カラーリングは「ヤマハレーシングブルー」「マットダークグレー」「ホワイト」の3色を用意した。
◆税込価格149万6000円
◆スペック
・全長/全幅/全高:2070mm/705mm/1180mm
・シート高:830mm
・車両重量:195kg
・原動機種類:水冷・4ストローク・DOHC・4バルブ
・気筒数配列:直列3気筒
・総排気量:888cc
・最高出力:88kW(120PS)/10000r/min
・最大トルク:93N・m(9.5kgf・m)/7000r/min
・エンジンオイル容量:3.50L
・燃料タンク容量:14L(無鉛プレミアムガソリン指定))
・タイヤサイズ(前/後):120/70ZR17M/C (58W)(チューブレス)/180/55ZR17M/C (73W)(チューブレス)
・制動装置形式(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ
・懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム(リンク式)