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伊ドゥカティ 新型「パニガーレV4R」発表  市販車の最高峰、随所にMotoGP・SBKの最新技術採用

伊ドゥカティ 新型「パニガーレV4R」発表  市販車の最高峰、随所にMotoGP・SBKの最新技術採用

2025.09.26

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伊ドゥカティ 新型「パニガーレV4R」発表  市販車の最高峰、随所にMotoGP・SBKの最新技術採用

伊ドゥカティは9月23日、イタリア・ボローニャのボルゴ・パニガーレで開催したドゥカティ・ワールド・プレミア2026で、新型「パニガーレV4R」を発表した。日本国内での発売は12月以降を予定、価格は未定。ボディカラーはドゥカティ・レッド。

 

同機種は第7世代のドゥカティ・スポーツバイクをベースに、MotoGPやスーパーバイク世界選手権(SBK)でドゥカティが築いてきた成功を象徴するモデル。スーパーバイク世界選手権への参戦を目的に開発し、公道走行可能なバイクとしてはこれまでにないレース由来の数々の技術を採用。ドゥカティ・ファンに向けて最高のスポーツバイクの提供を目指して設計した。

 

2001年に登場した伝説的なモーターサイクル「996R」の系譜を受け継ぐモデル。スーパーバイク世界選手権に参戦するマシンのベースとして設計された。ドゥカティ・スポーツバイクの最高峰モデルとなる。シリアルナンバーが付けられ、ステアリングプレートにはモデル名と生産番号が刻印される。

 

ドゥカティ・コルセとの協力により、MotoGPで培われた技術を公道走行可能にしたモデル。2021年にMotoGPで初めて採用したコーナー・サイドポッドや、ドゥカティ・ニュートラル・ロック(DNL)機能を備えたドゥカティ・レーシング・ギアボックス(DRG)など、レースで磨かれた技術を盛り込んだ。

 

998ccのデスモセディチ・ストラダーレRとするエンジンを搭載。同エンジンはスーパーバイク世界選手権向けに設計し、ドゥカティ・コルセのMotoGP哲学に基づいて開発した最新バージョン。最高出力は218psで、前モデルと同等であるものの、4000rpmから最高出力に達する回転数までの平均出力を4ps向上させた。最高速度時のエンジン回転数は1万6000rpmに達するという。

 

トルク性能もさらに強化し6000rpmでは7%増加し、1万2000rpmでは最大値114.5Nmを発生し、以前のモデルに比べて3%向上させた。最高速度は318.4km/hで、レーシング・エグゾーストを装着した場合にはさらに高まり330.6km/hに達するとしている。この速度は、これまでMotoGPマシンのみが達成可能であったとしており、市販車では驚異的な数値となる。

 

さらに、スーパーバイク世界選手権で使用される最新のスリックタイヤの性能を最大限に引き出すため、特定の剛性値に基づいて設計した「第7世代ドゥカティ・スポーツバイクのフロントフレーム」や「中空対称スイングアーム」を採用した。

 

 

◆エアロダイナミクス

同機種には量産モデルとして初めてサイドにコーナー・サイドポッドを装備。この空力エレメントは、ドゥカティが2010年にMotoGPに導入したウィング付きモーターサイクル技術を元に開発し、2021年にMotoGPで採用したソリューションとなる。コーナー・サイドポッドは深いバンク角で機能するよう設計し、空力効果によってタイヤのグリップを向上させ、コーナリング速度を上げることでラップタイムの短縮を可能にするもの。高速走行時にはバイクがコーナーの頂点で自然に内側へ向かい、より理想的なタイトなラインを描くことができるという。

 

フェアリングには、同機種専用の大型ウィングを新たに装着した。ウィングによってダウンフォースが25%向上し、270km/hで4.8kg、300km/hで6kgのダウンフォースを実現。加速時の安定性と高速走行時の精度を向上させた。

 

さらに、ドゥカティ・コルセと共同開発した「ダイナミック・フロント・エアインテーク」を搭載した。これによりエンジンへの空気供給量が増加し、インテーク・エア・プレッシャーが上昇することで、最高速度時の出力がプラス1.3ps向上。結果、ストレートでのパフォーマンスが大幅に改善した。

 

ライダーの操作性にも配慮した設計で、シートや燃料タンク、フットペグの組み合わせを見直し、前モデルよりもフットペグを10mm内側に配置した。これによりサーキット走行時にライダーへのサポートが向上したという。さらに、第7世代のドゥカティ・スポーツバイクから継承したエルゴノミクスにより、燃料タンクに伏せやすいデザインとして、フットペグに力をかけやすくなったことで、ブレーキングやコーナリング時のコントロール性も向上した。

 

◆MotoGP由来のエンジン

心臓部にはスーパーバイク世界選手権への参戦を目的に設計した998ccの「デスモセディチ・ストラダーレR」エンジンを搭載する。同エンジンは、ドゥカティがMotoGPで使用するマシンから派生したもので、6速ギアではレブリミットが1万6500rpm(他のギアでは1万6000rpm)に達し、1万5500rpmで最高出力218psを発揮する。

 

新型エンジンには、軽量化した新しいピストン(従来比5.1%減)と、慣性を向上した新しいクランクシャフトを採用した。これらの技術もMotoGPにおける、ドゥカティの開発戦略を踏襲しており、エンジンレスポンスがよりプログレッシブで扱いやすくなるよう設計した。結果、同機種はMotoGPマシン「デスモセディチGP」の公道走行可能な量産バージョンと呼べるほどの仕上がりを実現したとしている。

 

さらに、エンジンは厳格なユーロ5規制に適合したエグゾーストシステムを装着しながらも、中回転域で持続的なトルク曲線を維持し、前バージョンと同じ最高出力を発揮。同エンジンの潜在能力は、サーキット専用のレーシングエグゾーストを装着することで最大限に発揮し、最高出力は235psに達する。また、ドゥカティ・コルセ製のパフォーマンスオイルを使用することで、出力はさらに239psに強化したとしている。

 

この高いパフォーマンスの実現では、インテークダクトの設計を基本から見直し、燃焼効率を最適化する異なるプロファイルのエグゾーストカムを採用。また、低回転域での燃焼効率を向上させるため、サブスロットルインジェクタの位置を変更することで、高回転域ではインテークダクトのエアフローが1.5%向上。さらに、高透過性ポリエステル製エアフィルターを採用し、従来のフィルターに比べて圧力損失を低減することで、最大限のパワーデリバリーを可能にしたとしている。

 

 

◆レーシング・ギアボックス

レーシングスタイルのギアボックスレイアウトを搭載した。同ギアボックスは「ドゥカティ・レーシング・ギアボックス(DRG)」と呼ばれ、MotoGPやスーパーバイク(SBK)のファクトリーマシンに採用している技術と同様の構造とした。通常のギアボックスではニュートラルが1速と2速の間に配置されるが、DRGでは1速の下にニュートラルを配置する。

 

この設計はドゥカティ・ニュートラル・ロック(DNL)システムと組み合わせることで、コーナー進入時など繊細な操作が必要な状況で、誤ってニュートラルに入ることを防ぐ。これによりエンジンブレーキが効かなくなるリスクを排除し、ライダーはより正確で安全な操作が可能だとしている。

 

さらに、ニュートラルが1速と2速の間に配置されていないことで、ギア間のシフトがより迅速かつスムーズで安定して操作できる。同ギアボックスはドゥカティが特許を取得しており、右ハンドルバーのレバーを操作することでニュートラルを解除できる仕組みとなる。この操作はMotoGPやスーパーバイクの公式ライダーと同じ手法を採用しており、プロフェッショナルなレベルでの性能を一般ライダーにも提供するとしている。

 

 

◆フレームとスイングアーム

シャシーは2025年版「パニガーレV4」で採用したコンセプトを基に設計。横方向の剛性を40%低下するようフロント・フレームを改良した。さらに中空対称スイングアームを採用し、これらの設計変更はドゥカティ・コルセの要望により実現したもの。これにより最新のスリックタイヤのグリップを最大化し、エンジンの性能を効率的に路面に伝えることが可能になった。フレームとスイングアームの改良により、コーナリング時のラインのトレース精度も向上し、コーナー脱出時のトラクションや加速時のライディングフィールも向上したとしている。

 

足回りは43mm径を備えたオーリンズ製NPX25/30加圧式フロントフォークと、特別設定のオーリンズ製TTX36ショックアブソーバーを装備した。さらに、量産バイクとしては初となるオーリンズ製SD20ステアリング・ダンパーを採用し、ダンピング特性の向上と幅広い調整範囲を実現した。

 

同機種は基本的にレース用の設計のため、さまざまなサーキット特性やライディングスタイルに合わせたセットアップの調整が可能だという。スイングアーム・ピボットの高さは2mm刻みで4つのポジションに設定でき、リヤの高さも前モデルより広範囲に調整可能とした。

 

リヤショックアブソーバーにはリニア・サスペンション・トラベル・センサーを取り付けることができ、このセンサーからのデータはドゥカティの新しいプロフェッショナルデータ収集システムの「ドゥカティ・データ・ロガー(DDL)」を通じて統合するという。DDLはドゥカティ・パフォーマンス・アクセサリーとしても利用可能となっている。

 

ホイールには5スポーク・タンジェンシャルデザインを採用。鍛造アルミニウム製合金を使用し、タイヤはフロントに120/70 ZR17、リヤは200/60 ZR17のピレリ製ディアブロ・スーパーコルサSP V4を装着。サーキット走行向けにスーパーバイク世界選手権で使用されるピレリ製スリックタイヤを調整せずに装着可能で、SC0、SCX、SCQなどの高性能コンパウンドを用意したという。

 

ブレーキシステムには新しいブレンボ製Hypureキャリパーと330mm径ダブルディスクを採用し、優れた制動力と放熱効率を備えたという。これにより限界走行時のパフォーマンスと安全性が向上した。

 

◆エレクトロニクス

エレクトロニクス・パッケージの進化により、先代モデルを大幅に上回る性能を備えたとしている。ドゥカティ・コルセが開発した「ドゥカティ・ビークル・オブザーバー(DVO)」アルゴリズムと、パニガーレV4で初めて採用したコンバインド・ブレーキ付きコーナリングABSの採用によって、技術的な飛躍を遂げたとしている。

 

エレクトロニクスは、スタンダード仕様のパニガーレV4と比較してレース・ブレーキ・コントロールと呼ばれる新しいコンバインド・ブレーキ・ストラテジーの導入や、DVOをエンジン・ブレーキ・コントロールにも適用している点で差別化された。同社内で開発したレース・ブレーキ・コントロール・ロジックは、プロライダーのライディング技術を再現し、従来モデル以上のタイムを実現することを可能にたという。

 

同システムは、より正確な計算方法と、さまざまなバンク角に対応する強力なブレーキ圧を備えており、リヤブレーキをより効果的に活用できるよう設計した。これにより後輪のロック限界まで急制動が可能となり、MotoGPやSBKライダーのようにコーナー手前でブレーキングポイントを最大限に遅らせることができるという。新しいエンジン・ブレーキ・コントロール・システムはDVOの採用により、タイヤにかかる力を正確に制御し、エンジンブレーキの作用をよりスムーズで予測可能なものにしたとしている。

 

操作性は、パニガーレV4で採用している6.9インチのメーターパネルを搭載した。パネルにはトラックとロードの2つのインフォモードを用意し、パフォーマンスや車両状態に関する情報をグラフィックで表示するインターフェイスを備える。さらにパニガーレV4 Rには特別に開発した「グリップ・メーター」を搭載しており、サーキット走行時に利用可能なグリップの推定値をグラフィック表示することで、ライダーが最大限のパフォーマンスを追求できるようにした。

 

 

◆アクセサリー

サーキット走行で性能をさらに向上させるため、同機種専用の幅広いアクセサリーを用意した。アクセサリー開発はドゥカティ・パフォーマンスによって行われ、バイクの完成度と性能を、さらに高める目的としている。

 

注目はアクセサリーのひとつに「ドゥカティDAVCレース・プロ・ソフトウェア」を用意した。ドゥカティ・コルセのエンジニアと共同で開発し、エンジンキャリブレーションやコントロール戦略を最適化することで、スリックタイヤやレインタイヤを装着したサーキット仕様の車両において最高のパフォーマンスを実現するという。

 

さらに、ドゥカティ・パフォーマンス・アクセサリーには、バイクのダイナミクスを向上させるカーボンファイバー製ホイールも用意。同ホイールは軽量な鍛造ホイールと比較して、前輪で0.25kg、後輪で0.7kgの重量削減を達成し合計で0.95kgの軽量化を実現させた。また、PROおよびPRO+フロントブレーキパッケージ、レーシングフェアリング、フットペグなども用意し、サーキット性能をさらに引き上げるための装備を充実させた。

 

 

【主な仕様】

  • デスモセディチ・ストラダーレRエンジン、998 cc
  • 最高出力218ps/1万5500rpm 208.4 @ 1万3250 rpm

(アクセサリーのレーシング・エグゾースト装着時:235ps@1万5500rpm、レーシング・エグゾースト装着、ドゥカティ・コルセ・パフォーマンス・オイル使用時:238.5ps)

  • 慣性を高めたスチール製鍛造クランクシャフト
  • 新しく、より効率的なフロント・ダイナミック・エアインテーク
  • 軽量化(5.1%減)した鋳造アルミニウム製ピストン、スカートの1セグメントにDLCコーティング、オイルスクレーパー・リング付き
  • ドゥカティ・ニュートラル・ロック(DNL)付きドゥカティ・レーシング・ギアボックス(DRG)
  • ショットピーニング処理が施したチタニウム製ガンドリル・コネクティングロッド
  • チタニウム製インテーク・バルブ
  • 直径56mm相当の楕円スロットルボディ、サブスロットル・インジェクター、リバース・オープニング・スロットルバルブ
  • 2024年モデル比で10mm短縮した専用の可変長インテーク・ダクト
  • 最適化したインテーク・ダクトを備えたシリンダー・ヘッド
  • スプリントフィルター製高透過P08エアフィルター
  • 装備重量(燃料を除く):186.5 kg
  • フロント・フレーム
  • 17リットル・アルミニウム製燃料タンク
  • オーリンズ製NPX 25-30 手動調整式加圧フォーク、ストローク125mm
  • オーリンズ製 手動調整式TTX36ショックアブソーバー、ホイールベース316mm
  • オーリンズ製 手動調整式ステアリング・ダンパー
  • 鍛造アルミニウム製ホイール
  • リチウムイオン・バッテリー
  • ブレンボ製Hypure™ モノブロック・キャリパー付きブレーキ・システム
  • ピレリ製ディアブロ・スーパーコルサV4タイヤ(リヤ・サイズ:200/60)
  • MotoGP由来のコーナー・サイドポッド
  • 大型バイプレイン・ウィング(パニガーレV4 Sに対してプラス20mm、270km/h時のダウンフォース25%増)
  • ドゥカティ・ビークル・オブザーバー・ストラテジー
  • 6軸慣性測定ユニット(6D IMU)を備えた最新世代のエレクトロニクス・パッケージ:コンバインド・ブレーキおよびレース・ブレーキ・コントロールを備えたコーナリングABS、ドゥカティ・トラクション・コントロール(DTC)DVO、ドゥカティ・スライド・コントロール(DSC)、ドゥカティ・ウィリー・コントロール(DWC)DVO、ドゥカティ・パワー・ローンチ(DPL)DVO、ドゥカティ・クイック・シフト(DQS)2.0、エンジン・ブレーキ・コントロール(EBC)
  • レベル変更用ボタン
  • 8:3のアスペクト比を備えた新しい6.9インチ・フルTFTメーターパネル
  • ライディングモード(レースA、レースB、スポーツ、ロード、ウェット)
  • デイタイム・ランニングライト(DRL)およびターン・インジケーターを統合したフルLEDヘッドライト
  • シングルシート仕様
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